EC企業でAIを活用する段階を解説するECグロースチャンネルの動画サムネイル

この記事で分かること

  • AIの個人利用を、チームで続けられる業務に変える5つのステップ
  • データ整理・業務選定・推進担当を決めるときの具体的な確認項目
  • 1業務を2〜4週間試し、効果を測って横展開する進め方

社員がそれぞれAIを使っているのに、仕事の進め方は変わらない。便利な指示文が一部の担当者にしか共有されず、その人が休むと従来の作業に戻ってしまう。EC企業のAI導入では、こうした「個人では使えるが、組織に定着しない」という課題が起こります。

進める順番は、データを整える→自社の知識を残す→任せる業務を選ぶ→担当とルールを決める→効果を測って広げるです。最初の1業務について、入力する情報と完成の基準をそろえることから始めましょう。

本記事は、ECグロースチャンネルの2026年9月2日公開動画「EC×AI企業に生まれ変わる教科書」をもとに、社内導入の進め方を整理します。動画の5ステップに沿い、実務で使う表とチェックリストを編集部が補足しました。情報確認日:2026年10月7日。

執筆者プロフィール

この記事の監修者
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株式会社Wacworks

代表取締役社長

舟瀬悠

株式会社Wacworks 代表取締役社長 舟瀬悠

2021年11月に創業し、店舗立ち上げ初期から月商1億円以上の店舗まで120社以上を支援してきました。自社サイト、楽天市場、Yahooショッピング、AmazonなどECサイト・モールに特化したコンサルティング事業を行っています。売上アップ率は233%。"売上をグロースさせたことがあるコンサルタント"のみをパートナーとしてアサインし、EC事業者さまの売上・利益を最大化するお手伝いをさせていただきます。

本記事は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Qoo10などのECモール支援を手がける株式会社Wacworksの代表取締役社長 舟瀬 悠が監修しています。また、当サイトのコンテンツは、株式会社Wacworksが定める「コンテンツ制作・編集ポリシー」に基づいて制作しています。

AI導入の現在地を「個人・業務・データ」の3段階で見る

動画では、AI活用を3段階に分けています。第1段階は個人が文章作成や相談に使っている状態。第2段階はページ制作やレポート作成など、決まった業務の流れに組み込まれている状態。そして第3段階は、自社の一次情報を継続して使い、判断や改善につなげる状態です。これは動画内で示された整理であり、公的な認定基準ではありません。

現在地を確認するには、「別の担当者でも、同じ情報を使って同じ仕事を進められるか」と考えると分かりやすくなります。AIを使った回数だけでなく、必要なデータがそろい、成果物を確認して次の施策に移せるかを見てください。

商品登録・在庫管理・問い合わせ対応などの具体例を先に確認したい場合は、EC運営のAI活用法5選も参考になります。ここからは、それらを社内で運用するための準備を扱います。

ステップ1.データの保管場所と更新方法をそろえる

動画で最初に強調されているのは、AIに渡すデータの質です。古い価格や更新前の在庫を使えば、その前提で回答が作られます。売上・広告・在庫・レビューなどを集めるだけでなく、いつの情報で、誰が更新するのかを明らかにしましょう。

いきなり大きなデータ基盤を作る必要はありません。動画では、表計算ファイルなどで集計し、共有できる状態を作り、蓄積の仕組みへ進める段階的な方法が紹介されています。最初は対象業務に必要なデータだけを、決めた場所に置くところから始められます。

以下は、編集部が整理したデータ管理表の項目例です。モールごとに数値の定義が違う場合は、その違いも記録します。

対象データそろえておきたい情報更新時の確認
売上・注文の集計対象期間、商品ID、モール、金額の定義キャンセルや返品を含むか、税込・税抜の扱い
広告の実績対象期間、商品・広告の識別子、指標の定義集計時点や売上計上の条件が同じか
在庫・入荷予定商品ID、在庫数、入荷予定、取得日時最新の状況と一致しているか
レビュー・問い合わせ傾向対象商品、発生時期、内容の分類不要な個人情報を除き、利用できる範囲か

たとえば売上が増えた理由を考えるとき、広告だけを見ていると、在庫が復活した影響を見落とすかもしれません。動画でも、複数の情報をつなげて背景を捉える重要性が説明されています。判断に必要な範囲から、共通の商品IDや期間で照合できるようにしましょう。

ステップ2.担当者の経験を、参照できる一次情報にする

一次情報には、売上データだけでなく、自社に寄せられた問い合わせ、商品のレビュー、担当者が施策を選んだ理由も含まれます。動画では、こうした自社固有の情報を蓄積し、担当者の頭の中にあるノウハウを言語化することが重視されています。

編集部からの実践提案は、施策ごとに「課題・使った情報・実施内容・結果・次回の注意」を短く残す方法です。たとえば「広告を増やした」だけでなく、在庫や採算をどう確認し、なぜその商品を選んだかまで記録すると、別の担当者も判断の背景をたどれます。

AIに渡す資料には、更新日、作成者、適用できる条件を添えます。過去の成功例も、季節や商品、販売条件が変われば同じ結果になるとは限りません。資料を増やすことと、最新で使える資料を維持することをセットで考えるのがポイントです。

ステップ3.発生頻度と手順の明確さで、最初の1業務を選ぶ

発生頻度と定型度でAIに任せる業務を分類する動画内の図
元動画より。該当場面を見る(11:23〜)

動画では、「発生頻度」と「定型度」の2軸で業務を分けています。頻繁に発生し、手順が決まっている仕事を優先し、その後に、頻繁に発生するものの判断が必要な仕事へ進める考え方です。

週次レポートの集計、商品説明の下書き、定型的な問い合わせの返信案などから、自社で時間がかかっているものを1つ選びましょう。広告の予算変更や重要な顧客対応のように判断の影響が大きい業務では、AIが用意する分析・案と、人が決める部分を分けます。

動画でも、広告運用そのものを任せる難しさや、顧客への送信前に人が確認する必要性が説明されています。「AIに任せる」を、最初からすべて無人で実行する意味にしないことが大切です。

対象業務が決まったら、入力するデータ、出力の形、確認者、完了条件を1枚にまとめます。週次レポートなら「どの期間の、どの商品について、どの指標を比較し、担当者が何を確認するか」まで決めると、毎回の依頼がぶれにくくなります。

ステップ4.推進担当と、チーム共通の確認ルールを決める

推進担当を決めて事例や指示文を共有する進め方を説明する動画の場面
元動画より。該当場面を見る(16:22〜)

動画では、EC業務を理解している人がAIを学び、社内の推進担当を1人決める方法が勧められています。受注・在庫・物流・顧客対応までの流れを知っている担当者なら、どこで例外や確認が必要になるかを考えやすいためです。

推進担当にすべての作業を集中させる必要はありません。動画にある週1回の共有会などを使い、うまくいった指示文、修正が必要だった回答、判断に迷った例を持ち寄ります。共通の手順を更新し、ほかの担当者でも使える状態にします。

運用前にそろえる4つのルール

  • 入力してよい情報:顧客情報・社外秘をどう扱うか、利用範囲を確認する
  • 人が確認する箇所:数字、商品仕様、対外的な文章などの確認者を決める
  • 成果物の責任者:最終判断と、誤りがあった際の修正担当を明らかにする
  • 利用するツール:会社で認めたサービスと設定を共有する

上の4項目は動画の説明を実務向けに整理したものです。入力情報の取り扱いは、利用サービスの契約・設定と社内規程に沿って確認してください。導入の初期は、不要な個人情報を外した集計データや、確認可能な商品情報から試すと、成果物を評価しやすくなります。

ステップ5.2〜4週間試し、工数と品質を測って横展開する

動画では、1業務を選んで2〜4週間試し、効果を検証してから別の業務やチームへ広げる進め方が示されています。短期間の売上だけで導入の良し悪しを決めず、まず、その業務が安定して進むかを確認しましょう。

測定する際は、AIが処理した時間だけでなく、人がデータを整える時間、出力を確認する時間、修正する時間も含めます。以下は編集部による、週次レポート作成を試す場合の進行例です。

段階取り組むこと記録すること
開始前対象範囲・入力データ・完成見本・確認者を決める従来の作業時間、頻度、手戻りの内容
1週目同じ条件でAIを使い、人が元データと照合する準備・生成・確認・修正にかかった時間
2〜4週目指示文と手順を直し、別の担当者も試す数字の誤り、修正回数、担当者による差
振り返り継続・修正・対象変更を判断する削減できた工数と費用、残る確認作業

手戻りが増えているなら、先に入力データや完成条件を見直します。うまくいった場合は、データの置き場所、指示文、確認項目、対応できない例外をまとめて渡しましょう。単に「このAIが便利だった」と共有するより、チームで再現しやすくなります。

開始前のチェックリスト

最初の1業務について確認しましょう

  • 対象業務と、改善したい負担を具体的に決めた
  • 必要なデータの保管場所・更新日・更新担当が分かる
  • AIに渡してよい情報と、除く情報を決めた
  • 完成見本と、人が確認する項目を用意した
  • 推進担当・最終確認者・修正担当を決めた
  • 従来と試行後の工数・品質を比較できる
  • 振り返りの日程と、成功した手順の共有先を決めた

チェックが埋まらない項目は、導入前に整える作業です。すべての業務を一度に変える必要はありません。1つの仕事を、別の担当者でも確認しながら続けられる状態にすることを最初の到達点にしましょう。

元動画でEC企業のAI導入の考え方を確認する

出典:ECグロースチャンネル「【超完全解説】この動画を見ればEC×AI企業に生まれ変わります【AI化の教科書】【ECコンサル】」(2026年9月2日公開)。本文の場面画像は元動画から引用しています。

AI導入を、店舗改善に使える運用へつなげよう

EC企業のAI導入は、データと担当者の知識を整え、小さな業務で試し、確認できる手順を共有することで進められます。生まれた時間を商品ページや広告の改善へ使えるよう、導入後の役割も考えておきましょう。

店舗の運営体制や改善施策については、WacworksのEC支援サービス一覧をご覧ください。

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株式会社Wacworks

代表取締役社長

舟瀬悠

株式会社Wacworks 代表取締役社長 舟瀬悠

2021年11月に創業し、店舗立ち上げ初期から月商1億円以上の店舗まで120社以上を支援してきました。自社サイト、楽天市場、Yahooショッピング、AmazonなどECサイト・モールに特化したコンサルティング事業を行っています。売上アップ率は233%。"売上をグロースさせたことがあるコンサルタント"のみをパートナーとしてアサインし、EC事業者さまの売上・利益を最大化するお手伝いをさせていただきます。