EC事業者が注意すべきAIの3つのリスクを解説するECグロースチャンネルの動画サムネイル

この記事で分かること

  • AIの売上分析で、事実と原因の仮説を分ける確認方法
  • 一般的な施策案を、自店の顧客・商品に合う提案へ直す考え方
  • メール送信・画像更新を任せる際の、実行前後のチェック項目

AIが作った売上レポートは読みやすいのに、結論の根拠を説明できない。商品画像を更新したと報告されたのに、実際のページを見ると違う画像になっている。EC業務でAIを使うときは、作業を速くするだけでなく、こうした誤りを見つける手順も必要です。

AIの出力を「確認できる事実」「検証する仮説」「実行してよい作業」に分けることが、店舗運営の判断ミスを減らす出発点です。見栄えのよい回答や完了報告だけで、正しさを判断しないようにしましょう。

本記事は、ECグロースチャンネルの2026年10月17日公開動画をもとに、ECのAI活用で注意したい3つのリスクを整理します。動画で紹介された例と、編集部が補足した確認表・指示例を区別して解説します。特定のAI製品の性能比較や、誤りの発生率を示す記事ではありません。情報確認日:2026年10月25日。

執筆者プロフィール

この記事の監修者
この記事の監修者

株式会社Wacworks

代表取締役社長

舟瀬悠

株式会社Wacworks 代表取締役社長 舟瀬悠

2021年11月に創業し、店舗立ち上げ初期から月商1億円以上の店舗まで120社以上を支援してきました。自社サイト、楽天市場、Yahooショッピング、AmazonなどECサイト・モールに特化したコンサルティング事業を行っています。売上アップ率は233%。"売上をグロースさせたことがあるコンサルタント"のみをパートナーとしてアサインし、EC事業者さまの売上・利益を最大化するお手伝いをさせていただきます。

本記事は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Qoo10などのECモール支援を手がける株式会社Wacworksの代表取締役社長 舟瀬 悠が監修しています。また、当サイトのコンテンツは、株式会社Wacworksが定める「コンテンツ制作・編集ポリシー」に基づいて制作しています。

ECのAI活用で注意したい3つのリスク

動画では、「出てきたアウトプットを自分で判断できないこと」を大きな懸念として挙げています。論点は、数字の読み違い、施策が一般論にとどまること、意図しない操作の3つです。次の表は、それぞれをEC担当者の確認事項に置き換えたものです。

リスク動画で扱う例・論点まず確認すること
数値分析の結論を取り違える在庫切れの情報がなく、売上減少を競合の影響と推測する元データ、集計条件、渡していない店舗事情
施策が一般的な提案で止まる自店ならではの顧客理解や経験が案に反映されない誰のどんな課題を解く施策か、その根拠
意図しない操作が行われる送信前の文章を送る、異なる画像を反映する許可する操作、対象、変更内容、実行後の実物

3つは別の問題です。集計が正しくても原因の説明が正しいとは限らず、提案が妥当でも操作対象を間違えることがあります。確認を1回で済ませず、分析・判断・実行のそれぞれで何を照合するかを決めます。

リスク1.在庫切れを見落とすなど、売上分析の原因を取り違える

売上減少の背景が在庫切れでも、その情報をAIに渡さなければ原因を取り違える例の説明場面
元動画より。該当場面を見る(2:25〜)

動画では、売上とアクセスが落ちたデータを渡したところ、競合が強くなったという仮説が出る場面を例に挙げています。しかし、本当の背景が商品の在庫切れで、その情報を渡していなければ、店舗の実情に合わない説明になります。これは動画内の説明例であり、特定店舗の検証済み実績として紹介されているものではありません。

ここで大切なのは、集計結果と原因の推測を分けることです。「売上が前月より減った」は元データと照合できます。一方、「競合が強くなったから減った」は、競合の動きや自店の販売状況を調べてから判断する仮説です。

原因を断定させる前に、判断に足りない情報を挙げてもらいましょう。次の順番は、編集部が提案するレポート確認の手順です。

確認の順番見る内容誤りがあったときの対応
1.集計条件対象期間、商品ID、税込・税抜、返品やキャンセルの扱い条件をそろえて再集計する
2.数字の一致元データの合計、比較対象、増減率の計算元の表や計算式に戻って照合する
3.店舗の出来事欠品・再入荷、価格変更、広告停止、セールなど不足している事実を時系列で追加する
4.原因の裏付け結論を支える資料と、まだ確認していない点未確認の説明は仮説として残す

たとえば、売上が落ちた商品の欠品日と売上推移を照合するまでは、広告を増やすべきか判断を保留します。反対に、在庫が十分だったことを確認できれば、流入や転換率など別の要因を調べられます。AIには「事実・仮説・不足情報」を別々の欄に出してもらうと、担当者が確かめる場所が明確になります。

元データの定義や、複数モールの数字のそろえ方から整理する場合は、EC売上ダッシュボードのKPI設計と活用例も参考になります。

リスク2.一般的な施策を、そのまま自店の正解にしてしまう

動画の2つ目の論点は、AIから得られる一般的な提案だけでは差別化が難しいという懸念です。出演者は、顧客との接点や実体験から得る情報の大切さを話しています。「AIには新しい案が一切作れない」と断定するのではなく、自店で実施する理由を確認する論点として捉えると実務に使えます。

「広告を増やす」「レビューを増やす」「商品ページを改善する」といった案は、検討の入口になります。ただし、売れない理由がサイズの分かりにくさなのか、納期への不安なのかで、先に直す内容は変わります。

以下は編集部が作った架空の例です。AIの案を採用する前に、手元の問い合わせや商品仕様と結び付けて具体化します。

一般的な案自店で確認する情報具体化した施策の例
商品ページを改善する購入前に寸法を尋ねる問い合わせが多いか寸法図と使用場所の写真を追加し、問い合わせ内容の変化を見る
リピートを促す顧客が使い切る時期や、再購入の理由は何か利用実態に合う情報提供の時期と内容を検討する
商品の魅力を伝える顧客が評価する点と、ページの訴求が一致しているか確認できた評価理由を、商品仕様に沿う表現で説明する

施策を選ぶときは「どの顧客の、どの迷いを減らすのか」「その根拠はどこにあるのか」「実施後に何を見て判断するのか」を1組にします。顧客の声もすべての購入者を代表するとは限らないため、件数や対象商品の偏りを確認してください。

リスク3.送信や画像更新が、意図と違う形で実行される

ECサイトへの反映完了という報告と、実際の画像が一致しない経験を説明する場面
元動画より。該当場面を見る(7:59〜)

動画では、文章が意図せず送信されたことや、ECサイトへの反映が完了したという報告を確認すると違う画像になっていたことが、出演者の経験として語られています。個別の体験談であり、すべてのAIサービスで同じ動作が起きるという意味ではありません。

実行までできるツールに依頼するときは、「案を作る」と「実際に送信・更新する」を区別します。動画でも、文章を考えて一度見せるように伝えるなど、依頼の範囲を明確にする方法が紹介されています。

指示を具体的にすることに加え、実行前の変更内容と、実行後の実物を確認しましょう。指示文を丁寧に書くだけで誤操作がなくなるとは限りません。編集部からは、次の3段階での確認を提案します。

段階画像更新で確認する例
実行前店舗・商品ID・画像の位置を特定し、変更前と変更後の画像を並べる。対象外の商品が含まれていないか確認する
実行時必要な範囲だけ操作できる権限を使い、まず少数の商品で試す。元の画像や設定を戻せるように残す
実行後対象の商品ページを開いて画像・表示順・リンクを確認する。完了報告と実際の反映を照合し、結果を記録する

想定外の変更が見つかったら、同じ操作を他の商品へ広げる前に止めます。対象と変更履歴を確認し、元に戻す方法を検討してください。送信済みメールのように取り消せない操作は、実行前の宛先・本文・添付ファイルの確認が特に大切です。

EC業務をAIに依頼するときの指示例とチェックリスト

次は、商品画像の変更案を準備してもらう場合の編集部作成の指示例です。自店の権限・運用ルールに合わせて書き換えてください。価格や在庫まで変更する依頼とは範囲を分けています。

依頼:指定した商品の画像差し替え案を作成してください。この依頼では公開ページの変更は行わず、確認用の案を提示してください。

対象:店舗名、商品ID、変更する画像の位置、使用する画像ファイル名を指定します。対象やファイルを特定できない場合は、推測せず確認事項を提示してください。

出力:変更前・変更後の画像、対象商品、変更理由、未確認の点を一覧にしてください。価格・在庫・商品説明など、指定した画像以外は変更対象に含めません。

次の工程:担当者が一覧を確認して実行範囲を決定します。反映後は実際の商品ページで画像と対象を照合し、確認結果を残します。

分析を頼む場合は、同じ考え方で「使うファイル」「期間」「指標の定義」「推測で補ってはいけない項目」を指定します。動画の終盤でも、指示内容を具体化し、作業の前提や記録を整理する重要性が説明されています。前回の決定や修正理由を残しておくと、次の依頼で確認し直しやすくなります。

成果物を使う前のチェックリスト

  • 数字の元データと集計条件を確認できる
  • 原因の仮説と、確認済みの事実が分かれている
  • 提案を自店で実施する理由と、結果を見る指標がある
  • 操作対象と変更範囲が明確で、対象外を勝手に補っていない
  • 送信・公開・更新の前に必要な確認を終えている
  • 実行後のページや送信結果を確認し、報告だけで完了にしていない

補足|AIに渡す情報の範囲も決めておく

ここまでは元動画の3つの論点を中心に解説しました。運用上の補足として、入力する情報の扱いも確認してください。IPAは、AIのセキュリティ上の課題に、個人情報や営業秘密の漏洩、誤情報などを挙げています。出典:IPA「AIセキュリティ」。

ECの分析資料や問い合わせには、顧客の連絡先や社内の取引条件が含まれる場合があります。編集部からの実践提案として、業務に不要な情報を外し、社内で認められたサービス・契約・設定の範囲で扱うルールを決めましょう。入力内容の保存や利用条件は、使用するサービスの最新の公式説明で確認してください。

チーム全体で利用する業務や確認担当を決める手順は、EC企業のAI導入を進める5ステップで解説しています。本記事のチェック項目を、そこで決めた業務手順に組み込むと使いやすくなります。

元動画でECのAI活用リスクを確認する

出典:ECグロースチャンネル「【EC×AI】その使い方は危険です。EC事業者がAI時代に懸念するべきリスクとは?【ECコンサル】」(2026年10月17日公開)。場面画像は元動画から引用しています。

まとめ|分析の根拠と、実行後の結果を確かめる

ECのAI活用では、数字の根拠を確かめること、施策を自店の顧客・商品に結び付けること、操作の対象と結果を照合することが大切です。最初からすべてを任せず、担当者が確認できる範囲から活用し、見つかった誤りを次の手順に反映しましょう。

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株式会社Wacworks

代表取締役社長

舟瀬悠

株式会社Wacworks 代表取締役社長 舟瀬悠

2021年11月に創業し、店舗立ち上げ初期から月商1億円以上の店舗まで120社以上を支援してきました。自社サイト、楽天市場、Yahooショッピング、AmazonなどECサイト・モールに特化したコンサルティング事業を行っています。売上アップ率は233%。"売上をグロースさせたことがあるコンサルタント"のみをパートナーとしてアサインし、EC事業者さまの売上・利益を最大化するお手伝いをさせていただきます。