Amazonふるさと納税のやり方を解説|自治体・事業者向けの出品手順とメリット

ふるさと納税は寄付額・利用者数ともに拡大し、地域振興に欠かせない制度となっています。

そのなかでAmazonが展開する「Amazonふるさと納税」は、普段のアカウントで寄付でき、最短翌日に返礼品が届く利便性が注目されています

寄付者にとって使いやすい仕組みである一方、自治体や事業者は、地場産品基準の遵守や自治体への申請、返礼品登録、物流設計といった運用面に対応しなければなりません。

本記事では、Amazonふるさと納税のやり方について詳しく解説します。

Amazonふるさと納税に参加したいけど、どうすればいいか分からない事業者様は参考にしてください。

執筆者プロフィール

この記事の監修者
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株式会社Wacworks

代表取締役社長

舟瀬悠

株式会社Wacworks 代表取締役社長 舟瀬悠

2021年11月に創業し、店舗立ち上げ初期から月商1億円以上の店舗まで120社以上を支援してきました。自社サイト、楽天市場、Yahooショッピング、AmazonなどECサイト・モールに特化したコンサルティング事業を行っています。売上アップ率は233%。"売上をグロースさせたことがあるコンサルタント"のみをパートナーとしてアサインし、EC事業者さまの売上・利益を最大化するお手伝いをさせていただきます。

Amazonふるさと納税とは?仕組みを徹底解説

Amazonふるさと納税とは?仕組みを徹底解説

Amazonふるさと納税は、Amazonが提供するふるさと納税プラットフォームです。利用者はAmazon購入アカウントを使って寄付ができます。普段のAmazonで買い物をする感覚で気軽に寄付できるため、ふるさと納税の寄付拡大が期待できるでしょう。

出品主体と事業者の役割分担

Amazonふるさと納税には、「Amazonふるさとツナグ」というプログラムが導入されています。Amazonが自治体と販売事業者を仲介することで、双方の作業が簡略化され、スムーズに返礼品を提供できる仕組みです。

これにより、自治体は返礼品の企画や在庫管理、発送までの一連の業務を販売事業者に委ねることが可能です。Amazonを介して返礼品を出品することで、以下のように役割を分担できます。

  • 販売事業者:返礼品の準備や在庫管理、発送業務
  • 自治体:寄付額の設定や承認
  • Amazon:返礼品の出品に必要な手続きや申請、設定

Amazonふるさとツナグを利用することで、自治体は新たな返礼品をスムーズに増やし、事業者は既存商品を簡単に返礼品として出品できるようになります。

カタログ型ECとしての強み

Amazonでは、とある商品を販売したい事業者が1社でも10社でも、商品ページは1ページしか存在できない仕組みを採用しています。

この管理方法により、どの事業者から商品を購入しても、1つのページにレビューが集約できる仕組みです。寄付者は、一般消費者が購入した商品の評価を参考にしながら返礼品を選べます。

購入された商品の信頼性を引き継いで返礼品を出品できる点は、販売事業者にとってもメリットになります。

Amazonふるさと納税のやり方—自治体・事業者が進める具体的なステップ

Amazonふるさと納税のやり方—自治体・事業者が進める具体的なステップ

Amazonふるさとツナグを利用することで、以下の流れで返礼品が出品できます。

  1. 販売事業者:返礼品候補の商品情報をAmazonに申請
  2. Amazon:返礼品候補を自治体に紹介
  3. 自治体:返礼品候補の確認および承認可否を判断
  4. Amazon:承認された返礼品の出品設定
  5. 販売事業者:返礼品の在庫管理および梱包・発送
  6. Amazon:販売事業者へ返礼品代金を支払い

ここでは、販売事業者や自治体がそれぞれどのような内容を確認し、何を準備すればよいか、具体的な内容を確認しましょう。

販売事業者:返礼品候補の商品情報をAmazonに申請

販売事業者がふるさと納税の返礼品を出品する際、一般消費者向けに販売している商品ページを活用します。自社商品の商品ページを指定して、販売事業者がAmazonに「この商品をふるさと納税でも出品したい」と申請します。

ただし、何でも返礼品に申請できるわけではありません。返礼品候補となる商品は、あくまでも各自治体が公開する「返礼品提供事業者募集要項」を満たしていることが条件となります。

Amazon:返礼品候補を自治体に紹介

販売事業者から返礼品の申請を受けると、Amazonはその返礼品候補を自治体に紹介します。自治体への申請手続きはAmazonがとりまとめを行います。

これにより、返礼品を増やすために自治体側が行っていた以下の手間が省けます。

  • 返礼品のリサーチ
  • 販売事業者の元へ赴き調整
  • 返礼品の在庫管理は発送業務

参照元:ふるさと納税の可能性を広げるAmazonの一手|東洋経済ONLINE

自治体:返礼品候補の確認および承認可否を判断

Amazonから返礼品候補を紹介された自治体は、まず、Amazonの商品ページで候補の品を確認します。必要に応じて販売事業者に詳細情報などを確認し、ふるさと納税の返礼品として採用できるか判断します。

自治体が「採用可能」と判断した場合、申請手続きは通常どおりです。返礼品候補が地場産品基準などに適合しているか確認し、総務省への申請を行います。

Amazon:承認された返礼品の出品設定

自治体による承認を受け、返礼品として出品できることが確定したら、Amazonがサイト上の出品設定を行います。

とはいえ、既にAmazonで販売している商品ページがベースとなっています。実際には、返礼品としての出品許可が下りた商品のページに、ふるさと納税用の決済機能を追加するようなイメージです。これにより、返礼品の出品が設定された商品ページでは、Amazon利用者がその商品を求める際に、商品を購入するか、ふるさと納税で寄付をするかを選択できるようになります。

そのため、自治体による調整が必要な場合はありますが、自治体側が商品の登録や画像作成といった商品ページを作成する作業は不要です。

販売事業者:返礼品の在庫管理および梱包・発送

Amazon側が設定を完了したら、いよいよ商品が返礼品として出品されます。あとは返礼品が寄付されるのを待ちましょう。

返礼品の在庫管理や、寄付された返礼品の梱包、発送などはすべて販売事業者側で行います

※2025年9月時点では、返礼品として出品できるのはFBA(Amazonが所有する倉庫)に納品されている商品のみとなっています。

Amazon:販売事業者へ返礼品代金を支払い

出品している返礼品が寄付された際は、代金の販売事業者への支払いが発生します。このとき、寄付金に含まれる返礼品の代金は、Amazonから販売事業者へ支払われます

これにより、返礼品への寄付金を全額預かり、その後「販売事業者」「自治体」へそれぞれ分配する手間が省けます。

Amazonふるさと納税に出品するメリット

Amazonふるさと納税に出品するメリット

Amazonでふるさと納税の返礼品を出品することは、単なる寄付の受付にとどまりません。ここからは、販売事業者と自治体双方のメリットについて見ていきましょう

配送スピードで満足度アップにつながりやすい

Amazonふるさと納税に出品するメリットの一つは、配送スピードで寄付者の満足度を高められる点です。

Amazonふるさと納税の返礼品は、Amazon独自の物流システムで配送されます。そのため、Amazonを普段利用しているユーザーが期待する配送スピードに応えられる迅速な返礼品の配送が実現します。

返礼品をすぐに受け取れることは、寄付者の満足度に直結する要素です。スピードで差をつけることで、他のECモールにはない高い満足度を提供できるでしょう。

Amazon会員6,000万人超へのリーチができる

Amazonふるさと納税に出品することで、6,000万人以上のAmazon会員にリーチできる点も、大きなメリットです。

Amazonふるさと納税は、Amazonの購入アカウントを持っている人なら誰でも利用できます。普段Amazonを利用しているユーザーは、使い慣れたAmazonアカウントで手軽にふるさと納税を利用できます。

ふるさと納税へのハードルが下がることで、「Amazonで寄付できるなら試してみよう」という新規寄付者を獲得しやすくなるでしょう。

FBAによって物流を簡素化できる

2025年9月現在、返礼品として出品できる商品は「FBAに納品されている商品のみ」です。ただ、今後は自社配送にも対応していくとされています。

FBAとは、商品の保管から梱包、発送までをAmazonが代行する配送サービスです。このサービスを利用することで、従来なら販売事業者が対応していた返礼品の発送業務の負担から解放されます。また、一般購入者向けに出品している商品在庫と、ふるさと納税用の返礼品の在庫をまとめて管理できる点も魅力です。

少額寄付にも対応している

Amazonふるさと納税に出品するメリットとして、少額寄付に対応した返礼品を揃えやすい点が挙げられます。

多くのふるさと納税サイトでは、返礼品の寄付金額は最低5,000円程度からのものがほとんどです。一方、Amazonふるさと納税では、寄付金額のカテゴリに「~3,000円」「3,001~5,000円」などの少額枠が用意されています。これにより、少額で手に入る日用品や食料品など、気軽に試せる返礼品を多数展開できます

少額寄付に対応することで、「試しに使ってみるきっかけ」になりやすく、初めてふるさと納税を利用する層の開拓につながります。

手数料が比較的低水準で済む

Amazonふるさと納税に出品すると、自治体側が負担する手数料が比較的低水準で済みます。

一般的なふるさと納税のポータルサイトでは、手数料が寄付額の10%程度に設定されていることが多いです。しかし、Amazonふるさと納税では、既存の競合ポータルサイトよりも手数料が低いプランが用意されているとされています(具体的なプラン内容についてはAmazonへの問い合わせが必要です)。

手数料を抑えることで、より多くの寄付金を自治体の財源に充てられるため、コスト効率を重視する自治体にとって大きな魅力となります。

レビューが引継げる

Amazonふるさと納税は、既存の商品ページに蓄積されたレビューが、返礼品ページにも引き継がれます

多くのふるさと納税サイトでは、返礼品ごとにレビューをゼロから集めなければなりません。Amazonでは、出品者がすでにAmazonで販売している商品を返礼品としても出品する場合、その商品についている評価やレビュー件数をそのまま活用できます。

これにより、新規の返礼品であっても、ユーザーは安心して寄付を検討でき、商品の信頼性が高まった状態でスタートできます。

レビューによる信頼感は寄付者の意思決定に強く影響する要素です。そのため、販売実績のある商品ほど、寄付を集めやすくなります。

Amazonふるさと納税の運営上の注意点

Amazonふるさと納税の運営上の注意点

Amazonでふるさと納税を取り扱う際は、通常の出品とは異なる注意点が存在します。ふるさと納税のスムーズな運営のために注意すべきポイントを確認していきましょう。

地場産品基準を満たす必要がある

総務省の通知で、ふるさと納税の返礼品は「地場産品基準」を満たさなければならないと明記されています。

これは、返礼品候補の商品の生産過程に、自治体のある地域以外の工程が混在する場合に、その自治体の返礼品として認定できるか否かの基準です。

たとえば、自治体の地域外で生産された原材料でも、付加価値が発生する主要な加工を自治体の地域内で行っていれば、返礼品候補として申請できます。同じく自治体の地域外で生産された原材料を自治体の地域内に仕入れて包装した程度の場合は、返礼品候補として申請できません。

このように、返礼品候補には、加工割合や提供体制など、細かい基準が設定されています。

出典:総務省「ふるさと納税に係る返礼品の基準」

ワンストップ特例制度の申請対応をしなければならない

Amazonふるさと納税に出品する際は、ワンストップ特例制度の申請対応が必要になります。

「ふるさと納税ワンストップ特例制度」とは、確定申告が不要な給与所得者などが、確定申告なしで寄附金控除を受けられる特例的な制度です。

この制度の申請があった場合、自治体側は以下の事務処理を行う必要があります。

  • 申請内容の受付と管理
  • 申請者の情報確認
  • 寄附者の住所地自治体への情報通知 など

Amazonふるさと納税へ出品することで、寄付の増加が見込まれます。寄付件数が増えると、このワンストップ特例制度に関する事務作業の負担も増大するため、対応できる体制を整える必要があります。

支払い方法はAmazonの仕様に従う

Amazonふるさと納税で使える支払い方法は、クレジットカードとデビットカードのみです。また、寄附控除を受ける本人(ふるさと納税の申込者)と決済するカードの名義は同一である必要があります。

これから支払い方法が充実していく可能性はありますが、現時点では限定されているため、幅広い支払い方法を想定している場合は注意しましょう。

返礼品掲載にあたり自治体の承認が必須

Amazonふるさと納税で、すでに出品している商品を返礼品として掲載する場合、自治体の承認が必須となります。

ふるさと納税サイトを装った寄附金詐欺が横行し、これに対応する制度として令和元年6月1日より新たなふるさと納税指定制度が施行されました。この制度では「総務大臣による指定を受けていない地方団体に対する寄附は、ふるさと納税の対象外」と明記されています。

この制度を受けて、Amazonでは、自治体から正式に承認された商品のみ、Amazonふるさと納税に対応する形をとっています。

つまり、事業者側は、自社の希望だけで商品を出品することはできません。必ず提携する自治体の承認と手続きを経る必要がある点を押さえておきましょう。

Amazonふるさと納税のやり方でお困りならWacworksにご相談ください

Amazonふるさと納税への参入には、出品商品の返礼品申請やAmazonページ最適化など、専門的な知識とノウハウが必要です。

私たちWacworksは、Amazon運用のスペシャリスト集団です。これまで培ってきたAmazon運用の豊富な経験と知識を活かし、ふるさと納税に挑戦したい事業者や自治体を徹底的にサポートします!

  • 出品ページ最適化(商品名/画像/レビュー)
  • ASIN活用・相乗り対応
  • FBA運用支援と物流設計
  • 広告運用代行(露出拡大)
  • 書類・申請フローの支援
  • 自治体・事業者の運用を伴走支援

自治体・事業者双方の立場に寄り添い、実務を伴走します。「Amazonふるさと納税を始めたいけど、何からすればいいかわからない」とお困りの方は、Wacworksへご相談ください!

まとめ|Amazonふるさと納税のやり方からわかる戦略のポイント

Amazonが持つ巨大な会員数を活かすことは、一人でも多くふるさと納税の寄付者を集めるために有効な戦略です。

普段から利用しているAmazonなら、今までふるさと納税に触れたことがない人にも、寄付に興味を抱くきっかけを作り出せるでしょう。

ただし、Amazonで寄付を最大化するためには、地場産品基準を満たす返礼品であることが大前提です。まずはふるさと納税とAmazonの仕組みを深く理解し、準備を進めましょう。

Amazonの商品ページやFBAを効果的に活用すれば、多くの寄付者へリーチでき、在庫管理の負担も大幅に軽減できます。Amazonふるさと納税を活用し、商品と自治体の魅力を全国に発信しましょう。

もし、Amazonふるさと納税の運用戦略や、利益率の改善でお悩みでしたら、Wacworksへご相談ください!

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株式会社Wacworks

代表取締役社長

舟瀬悠

株式会社Wacworks 代表取締役社長 舟瀬悠

2021年11月に創業し、店舗立ち上げ初期から月商1億円以上の店舗まで120社以上を支援してきました。自社サイト、楽天市場、Yahooショッピング、AmazonなどECサイト・モールに特化したコンサルティング事業を行っています。売上アップ率は233%。"売上をグロースさせたことがあるコンサルタント"のみをパートナーとしてアサインし、EC事業者さまの売上・利益を最大化するお手伝いをさせていただきます。