EC広告レポートの正しい作り方|利益判断と改善につながる見方・構成を解説

広告レポートを見て、「数字は分かるが、次に何をすればいいか分からない」と感じたことはないでしょうか。
ECサイトでは、売上やCV数だけを見て広告を評価すると、知らないうちに利益を削ってしまうケースが少なくありません。
本記事では、一般的な広告レポートがECでは使いにくい理由を整理したうえで、利益判断と改善につながるEC広告レポートの考え方・構成・見方を解説します。
広告を「成果報告」で終わらせず、「続ける・止める・テストする」を判断できる資料に変えたい方は、ぜひ参考にしてください。
EC広告レポートを成果報告で終わらせていませんか?本記事では、一般的な広告レポートがECで使いにくい理由と、利益判断・改善につながる広告レポートの作り方と見方を解説します。
目次
ECサイトにおける広告レポートの役割
ECサイトにおける広告レポートは「結果を伝える資料」ではありません。本来の役割は、広告が事業にとって正しい状態かを判断し、次の行動を決めるための材料になることです。
広告レポートは成果報告ではない
広告レポートを成果報告として扱うと、判断を誤りやすくなります。売上やCV数が増えていても、それが良い広告とは限らないためです。成果報告型レポートにありがちな特徴は次のとおりです。
- 数字を並べて終わっている
- 良し悪しの結論が書かれていない
この状態では、広告を続けるべきか止めるべきかが分かりません。広告レポートは「説明するため」ではなく、「決めるため」に使う必要があります。
ECでは「利益判断のための資料」になる
ECにおいて広告レポートは、利益が残っているかを判断するための資料になります。売上が出ていても、広告費がかかりすぎていれば事業としては危険です。
ECの広告レポートで判断すべき視点は次のとおりです。
- 広告費に対して利益が出ているか
- 商品ごとに収支が合っているか
これらを確認することで、伸ばす広告と止める広告を切り分けられます。ECでは、広告レポートがそのまま経営判断につながる点が大きな特徴です。
なぜ一般的な広告レポートはECでは使いにくいのか
一般的な広告レポートは「広告の成果」は分かっても、「ECとして正しいか」は判断しにくい構成になっています。
そのため、数字を見ても次の一手が決まりません。
クリックやCV中心の評価
一般的な広告レポートは、クリック数やCV数を中心に評価されがちです。
しかしECでは、その評価軸だけでは不十分です。
よくある評価項目は次のとおりです。
- クリック数
- CV数
- CTR
これらは広告の反応を見る指標としては有効です。ただし、売上や利益と結びつけて見なければ、事業として良い広告かどうかは判断できません。
売上と利益が分離されている
ECで使いにくい理由の一つが、売上と利益が切り離されている点です。売上が伸びているだけで、安心してしまうケースが多く見られます。例えば、以下の状態では、実際に利益が残っているか分かりません。
- 売上は増えている
- しかし広告費も同時に増えている
ECの広告レポートでは、売上と広告費を必ず同じ画面で確認する必要があります。
商品単位で見られていない
一般的な広告レポートは、全体数値でまとめられていることが多いです。ECでは、この見方が判断ミスにつながります。
商品単位で見ないと、以下が混ざって見えなくなります。
- 儲かっている商品
- 赤字になっている商品
汎用レポートとの最大の違いはここです。ECでは、商品ごとに広告の良し悪しを判断できる構成が求められます。
ECの広告レポートを作る前に決めるべき目的
ECの広告レポートは目的を決めないまま作ると、必ず形だけの資料になります。最初に「このレポートで何を判断したいのか」を明確にする必要があります。
売上を伸ばしたいのか
売上を伸ばすことが目的の場合、広告レポートは成長余地を見つけるための資料になります。単に売上合計を見るだけでは意味がありません。確認すべきポイントは次のとおりです。
- 売上が伸びている商品
- 伸びが止まっている商品
これにより、広告費を追加すべき商品が見えてきます。売上目的のレポートでは「どこを強化するか」を判断できる構成が重要です。
無駄な広告費を減らしたいのか
広告費の最適化が目的の場合、見るべき視点は変わります。売上よりも、費用対効果の悪い部分を探すことが優先です。
例えば、
- 売上はあるが利益が残らない広告
- CPAが高止まりしている広告
こうした部分を洗い出すことで、無駄な支出を減らせます。
ECでは、広告費を抑える判断も重要な成果です。
商品の入れ替え判断をしたいのか
商品入れ替えを目的にする場合、広告レポートは選別の材料になります。全商品を同じ基準で見ると、判断を誤ります。
見るべきポイントは以下の通りです。
- 広告をかけても伸びない商品
- 少額でも安定して利益が出る商品
これらを比較することで、注力商品を決めやすくなります。ECの広告レポートは、商品戦略にも直結する資料です。
ECの広告レポートで設定すべきKPI
ECの広告レポートのKPIは「広告の成果」ではなく「事業として成立しているか」を判断できる指標に絞る必要があります。一般的な広告KPIをそのまま使うと、ECでは判断を誤ります。
売上
売上はECの広告レポートの基本指標ですが、単独では判断材料になりません。売上が伸びていても、広告費が過剰であれば意味がないためです。
売上を見るときは、以下を合わせて確認しましょう。
- 前月や前年との比較
- 商品別の売上構成
これにより、成長している商品と停滞している商品が見えてきます。
広告費
広告費は、必ず売上とセットで確認すべき指標です。広告費だけを見ても、高いか安いかは判断できません。
広告費は、以下を確認しましょう。
- 売上に対して広告費が増えていないか
- 広告費の増減に理由があるか
ECの広告レポートでは、広告費の変化を放置しない姿勢が求められます。
CPA
CPAは、1件の購入を獲得するためにかかった費用を示します。ECでは、CPAが利益を超えていないかが重要です。
例えば、以下を比較すると、改善すべき広告が明確になります。
- CPAが高い商品
- CPAが安定している商品
CPAは「良し悪し」を判断するための基準として使います。
ROAS
ROASは、広告費に対してどれだけ売上が出たかを見る指標です。EC広告では、よく使われる重要な指標です。
ただし、ROASが高いだけで安心するのは危険です。利益率が低い商品では、ROASが高くても赤字になる場合があります。ROASはあくまで判断材料の一つとして扱います。
利益(または粗利ベース)
結論として、ECの広告レポートで最も重要なのは利益です。売上やROASが良くても、利益が残らなければ広告は成功と言えません。
利益を見ることで、本当に伸ばすべき広告と止めるべき広告がはっきりします。ECの広告レポートは、最終的に利益判断ができる形でまとめることが重要です。
ECの広告レポートに必ず入れるべき項目
ECの広告レポートは情報量を増やすほど良くなるわけではありません。
判断に必要な項目だけを整理して載せることが重要です。
全体サマリー
全体サマリーは、レポートを開いて最初に確認する部分です。ここで「今月の広告は良かったのか、悪かったのか」が分かる必要があります。
入れるべき要素は、
- 広告費
- 売上
- 利益の増減
この3点をまとめることで、全体像を短時間で把握できます。細かい数字を見る前の判断材料として機能します。
媒体別成果
媒体別成果では、広告媒体ごとの役割を確認します。ECでは、媒体によって目的が異なるためです。
主に見るポイントは、以下の通りです。
- 媒体ごとの広告費
- 媒体ごとの売上やCPA
これにより、伸ばすべき媒体と見直すべき媒体が明確になります。
全体数値だけでは見えない差がここで分かります。
商品別成果
ECの広告レポートで最も重要な項目が商品別成果です。商品単位で見なければ、正しい判断はできません。
確認したい内容は、以下です。
- 商品ごとの売上
- 商品ごとの広告費
これを比較することで、利益を生んでいる商品が見えてきます。ECでは、広告判断と商品戦略が直結します。
改善ポイント
改善ポイントは、レポートの結論部分です。数字を見てどう動くかを明確にします。
例えば、以下を具体的に書き出します。
- 広告費を増やす施策
- 停止する施策
改善案が明確であれば、広告レポートは実務で使える資料になります。
ECの広告レポートのつくり方と基本構成
ECの広告レポートは「どう作るか」よりも「どう並べるか」で使いやすさが決まります。判断しやすい流れを意識して構成することが重要です。
全体 → 媒体 → 商品
ECの広告レポートは、必ず全体から確認できる構成にします。いきなり商品別を見ると、全体像を見失いやすくなるためです。
基本の並びは次のとおりです。
- 全体の広告費と売上
- 媒体別の成果
- 商品別の成果
この順番にすることで、「全体はどうか」「どの媒体が影響しているか」「どの商品が原因か」を自然に追える構成になります。
数字 → 変化 → 理由
数字を並べるだけでは、ECの広告レポートとして不十分です。必ず変化と理由をセットで整理します。
以下の流れでまとめましょう。
- 数字の結果
- 前月や前週からの変化
- 変化が起きた理由
理由まで書くことで、次に取るべき行動が明確になり、レポートが判断材料として機能します。
ECの広告レポートで行うべき分析視点
ECの広告レポートの分析は「数字を見ること」ではなく「数字をどう解釈するか」が重要です。単純な比較だけでは、正しい改善判断につながりません。
前月比だけで終わらせない
前月比は便利な指標ですが、それだけで判断すると危険です。数字が動いた背景を見ないと、誤った結論を出してしまいます。
例えば、以下のケースでは、単純な増減だけでは良し悪しを判断できません。
- 売上が伸びたが広告費も増えている
- CPAは改善したが売上が落ちている
前月比はあくまで入口として使います。
セール・在庫・価格変更の影響を見る
EC広告では、広告以外の要因が数字に大きく影響します。これを考慮せずに分析すると、判断を誤ります。
特に確認したい要素は以下です。
- セールやキャンペーンの有無
- 在庫切れや在庫過多
- 価格変更のタイミング
これらを踏まえることで、広告自体の良し悪しが見えてきます。EC特有の視点として欠かせません。
数字の変化に理由をつける
ECの広告レポートでは、数字の変化に必ず理由をつけます。理由が書けない数字は、判断材料になりません。
理由付けを行うことで、続ける施策と修正する施策が明確になります。分析とは、数字に意味を与える作業だと考えると分かりやすくなります。
ECの広告レポートでよくある失敗例
ECの広告レポートが失敗する原因は「数字はあるが、判断できない」状態になっていることです。以下では、EC現場で実際に起こりやすい例を挙げて説明します。
指標が多すぎる
指標を詰め込みすぎると、重要な数字が分からなくなります。特にECでは、この失敗が頻発します。
例
- 表示回数、CTR、クリック数、CVR、CV数、CPA、ROASがすべて並んでいる
- どの指標を見て判断すればいいか書かれていない
この状態では、 「結局この広告は良いのか、悪いのか?」 が判断できません。ECの広告レポートでは、利益判断に必要な指標だけに絞ることが重要です。
良し悪しの判断基準がない
数字は載っているのに、評価が書かれていないレポートもよく見られます。
これでは、見る人によって結論が変わってしまいます。
- CPA:5,000円
- ROAS:350%
一見すると問題なさそうですが、
- 商品の粗利が4,000円なら赤字
- 粗利が10,000円なら問題なし
このように、基準がなければ数字は意味を持ちません。
ECの広告レポートでは「この数値はOKかNGか」を明示する必要があります。
改善案が感想で終わっている
改善案が抽象的だと、レポートは行動につながりません。EC現場では、次のような表現がよく見られます。
- 「数値は横ばいのため、引き続き様子を見ます」
- 「今後も改善を検討します」
これでは、何をいつどう変えるのかが分かりません。
ECの広告レポートでは、 「この商品は広告費を下げる」 「この広告は停止する」といった具体的な行動まで書いて初めて意味を持ちます。
ECの広告レポートから改善施策を導く考え方
ECの広告レポートの役割は「広告を評価すること」ではありません。数字をもとに、次に取る行動を決めることが目的です。
続ける広告
続ける広告とは、利益が安定して出ている広告です。売上が伸びているだけでは判断しません。
以下の基準を参考にし、続ける広告を決めることもできます。
- ROASは高くないが、粗利内にCPAが収まっている
- 毎月安定して同じ商品が売れている
この場合は、広告費を急に下げる必要はありません。ECでは「派手に伸びないが、確実に利益を生む広告」を残す判断が重要です。
止める広告
止める広告は、数字が悪いものではなく「改善余地がない広告」です。ここを見誤ると、無駄な広告費が積み上がります。
止める広告の特徴例は以下の通りです。
- CPAが粗利を大きく超えている
- 何度改善しても数値が変わらない
この場合、様子を見る理由はありません。ECの広告レポートでは、止める判断を先延ばしにしないことが重要です。
テストする広告
テストする広告は、将来の売上を作るための施策です。短期の数字だけで評価すると失敗します。
テストを続ける広告の例は以下です。
- 新商品の広告
- クリエイティブを変更した直後の広告
これらは、以下を決めたうえで検証します。
- 期間
- 目標数値
ECの広告レポートでは「テスト中」という位置づけを明確にすることが大切です。
ECの広告レポートは「作り方」より「使い方」が重要
ECの広告レポートに完璧な型は存在しません。重要なのは、レポートを見たあとに正しい判断ができるかどうかです。
正解のフォーマットは存在しない
広告レポートのフォーマットを探し続けても、答えは出ません。ECの商材、価格帯、利益率によって、見るべき数字が変わるためです。
- 低単価・高回転の商品
- 高単価・低回転の商品
同じ指標でも、判断基準は異なります。ECの広告レポートは「自社の判断に合っているか」を基準に設計する必要があります。
判断できる形になっているかが重要
良い広告レポートとは、結論が自然に導けるレポートです。
数字を見た瞬間に、次の行動が浮かびます。
- 広告費を増やす
- 配信を止める
- テストを続ける
この判断が迷わずできる状態が理想です。ECの広告レポートは、使われて初めて価値を持ちます。
まとめ|ECの広告レポートは利益判断のための道具
ECの広告レポートは、成果を報告する資料ではありません。
利益を残すために、広告をどう扱うかを決める道具です。
売上だけを追わず、利益を見る。
数字を並べるのではなく、行動につなげる。
この視点を持つことで、広告レポートはEC運営の強い味方になります。
ECの広告レポートに悩んだら、Wacworksにご相談ください
ECの広告レポートを見て 「数字はあるのに、次に何をすればいいか分からない」と感じたことはないでしょうか。
Wacworksでは、以下のような「利益判断と改善につながるレポート設計」を前提に、EC広告の支援を行っています。
- 商品別・利益ベースでの広告レポート整理
- 媒体ごとの役割を踏まえた改善判断
- 続ける広告・止める広告の明確化
EC運営の意思決定に直結する視点を重視しています。
「この広告、続けるべきか止めるべきか判断できない」
「代理店のレポートが分かりにくい」
そんな状態であれば、一度整理するだけでも状況は変わります。
広告レポートを見る資料から使える資料に変えたい方は、Wacworksへお気軽にご相談ください。
